小児歯科の分野では、ひどいむし歯は減っています。これは、おそらくむし歯予防活動の成果があがったためと考えられています。これからは、ますます「予防の時代」となり、むし歯が減っていくものと思われます。
しかし、小児歯科の対象となる病気がなくなった訳ではありません。学校歯科健康診査では、平成7年4月から歯科口腔検査に新たな項目を加えました。従来のむし歯、歯肉炎、不正咬合の検査のほかに、顎機能のスクリーニングを導入したのです。この顎機能の問題のひとつが、小児期の顎関節症と関連しているのです。
近年、一般の成人歯科のなかでクローズアップされてきた顎関節症の問題は、ますます一般の歯科治療のなかでも重要な分野のひとつとなりつつあります。顎関節症とは、口を開けたり閉じたりするときに痛みがあったり、顎が動かしづらかったり、「カクン」と音がする症状をいいます。顎関節症は、小児にも成人にも見られる病気ですが、まだ未解決の部分も多く、原因などについてはわかっていません。

顎関節症の原因はいろいろありますが、「噛み合わせ」が大きく関与していることが示唆されています。つまり、小児期のうちに「噛み合わせ」の問題を解決しておくことが、成人になってからの口腔内の管理にもつながっているのです。
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