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朝日新聞投稿

 

 

 

 

     朝日新聞「私の視点」(平成25年2月1日)掲載記事

 

 

 

   

 

   岡永歯科の無料・低額診療への取り組みが、朝日新聞に採り上げられました。  
     
    生活困窮者の医療 「無料・低額診療制度」を知って  
                  
   岡永 覚(歯科医)  
     
   近年、ワーキングプアが増大し、医療費の支払いにも事欠く人が増えている。千葉県内の病院の社会福祉士に聞いた話では、病状が悪化しても治療費を払えないために診察を受けるのを控え、結局、救急車で運ばれて入院するケースが少なくないそうだ。
 このような貧困は健康をむしばみ、自立を妨げ、それがさらなる貧困を呼ぶ。日本はいつしか医療でも格差社会になってしまった。だが、これでいいはずはない。医師の一人として、困っている人が適切な医療を受けられるように昨年、「無料・低額診療」を実施する医療機関の申請を千葉県に出し、指定を受けた。
 無料・低額診療制度は、経済的困窮により医療を受けることが難しい患者に、社会福祉法に基づき医療費の窓口負担を無料、または軽減する仕組みだ。軽減した分は実施する医療機関の側が肩代わりするかわりに、税負担が一部軽減される。昨今、生活保護を受ける前段階としてのセーフティーネットの必要性が指摘されるが、無料・低額診療はまさにそれに当たる。
 ところが、指定を受けてみて半年以上が過ぎても、来院したのは60代の親と40代の娘の2人のみ。困っている人に無料・低額診療制度のことを知られていないと思い市役所や社会福祉事務所、社会福祉協議会を訪ねたが、彼らは制度に無関心で、周知にも消極的だった。
 社会福祉事務所では「生活保護の受給者以外は管轄外」と言われた。市の担当者らは「無料・低額診療のことはホームページで説明している」と言うばかりだ。しかし、無料・低額診療の対象となる者の多くはパソコンを持っているほうが少なく、ネットで調べる習慣はない。これではせっかくの制度が機能しない。
 行政には期待できないと考えて、地域で無料・低額診療を実施する医療機関に、「連携して相談や診療にあたろう」と提案して回り、ネットワークづくりをはじめた。複数の医療機関が連携して患者を治療しようという試みだ。まだまだ試行錯誤の段階だが、複数の医療機関がチームを組めば、医療の質が向上するだけでなく、相談窓口も増える。
 患者は同時に複数の病気を抱えていることが多い。相談内容によっては自分のところでは対応が難しく、他の医療機関を紹介した方がよいケースも多々ある。そのためにも、医療機関同士がチームを組み、互いに補完しあいながら対応していくことが大切ではないか。行政の側もこうした取り組みを取り込みながら、各地で推進するのが望ましい。
 
   
     
     



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