第25回保団連医療研究集会のシンポジウム「認知症高齢者の介護と人
権」に参加して、歯科医師として考えさせられました。
認知症の人と家族の会の勝田登志子氏によれば、認知症の患者様が認
知症以外の病気に懸かって治療を受ける場合、受け入れてくれる医療機関
を探すのが大変だそうです。この問題は、歯科医師としても無視できない問
題です。
幸い、私の診療所は、心療歯科に長く取り組んできた実績もあり、軽度の
認知症の患者さんの受け入れならば可能だと思います(ただし、ご家族など
の付き添いで通院可能な患者様に限って、予約診療で対応させていただき
ます)。また、認知症で通院困難な場合には、訪問歯科診療の利用を考えて
も良いでしょう。
よく、「認知症なのだから、歯なんか治さないで良い」と言う方がいらっしゃ
いますが、ほんとうに、そうなのでしょうか。確かに、重症化した認知症の場
合、治療が困難かもしれません。しかし、治療ができる状態ならば、治療した
方が良いと思います。認知症にも良い影響がありますから(介護予防の観点
からも、お勧めします)。
@
「噛む機能が維持されている高齢者の方が、認知症になりにくい」という
報告があります。噛む機能に問題がある高齢者は、認知症になるリスク
が高いようです。

A
「残っている歯が多い高齢者の方が、認知症になりにくい」という報告が
あります。歯がないまま放置している高齢者は、認知症になるリスクが高
いようです。

B
「口腔ケアをした方が、認知症の進行が遅い」という報告があります。

歯科だけでなく、介護予防の観点からも、認知症の患者様に歯科治療を
受けることをお勧めします。
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