高齢者の心理的課題と言うと、老人性鬱と認知症が挙げられます。そして、心理的側面と生理的側面が相互に影響しあうことも高齢者に見られる特色です。。
人間の生活機能は、「参加」、「活動」、「身体構造・機能」と言う3つの側面からなり、それぞれの側面は相互の関係にあります。疾病や老化の進行により「身体構造・機能」→「活動」→「参加」の方向で生活機能が落ちていきます。しかし、高齢者の場合、「身体構造・機能」に障害がなくても、「参加」→「活動」→「身体構造・機能」の方向で生活機能が落ちることがあります。「閉じこもり」になると、その方向に向かい、障害のリスクが高まります。社会参加や生活活動が不活発になると、「廃用性」に心理機能が低下するのです。また、高齢者における心理的な問題として「鬱」が挙げられます。「鬱」も、「参加」→「活動」→「身体構造・機能」の方向を促進して障害のリスクを高めます。

また、「認知症なのだから、歯なんか治さないで良い」と言う方がいらっしゃいますが、ほんとうに、そうなのでしょうか。確かに、重症化した認知症の場合、治療が困難かもしれません。しかし、治療ができる状態ならば、治療した方が良いと思います。認知症にも良い影響がありますから(介護予防の観点からも、お勧めします)。
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「噛む機能が維持されている高齢者の方が、認知症になりにくい」という報告があります。噛む機能に問題がある高齢者は、認知症になるリスクが高いようです。

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「残っている歯が多い高齢者の方が、認知症になりにくい」という報告があります。歯がないまま放置している高齢者は、認知症になるリスクが高いようです。

B
「口腔ケアをした方が、認知症の進行が遅い」という報告があります。

歯科だけでなく、介護予防の観点からも、認知症の患者様に歯科治療を受けることをお勧めします
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