● 怖い
神奈川県平塚市の主婦(44)は、痛みへの恐怖感と口に物を入れられた不安感で、歯科治療恐怖症だった。治療中に嘔吐したこともある。
主婦が受診した同市の坂本歯科医院(坂本貴史院長)には、同様の患者が目立つ。じっくり話を聞き、次の治療の予告をすることなどで、恐怖心を減らす。主婦は「まず口を開けて、と言われなかったのでほっとした」と話す。
他にも、歯のすき間のせいで英語の発音がうまくできずにふさぎがちになった国際線パイロットや、出っ歯と言われて引きこもりになった患者も治療した。
日本歯科心身医学学会理事長で福岡大医学部の都温彦教授(歯科口腔外科)は、「これまでの歯科医師は、歯を抜いたり削ったりする技術が重要視されてきた。ストレス社会となって、心と体の相関関係を考え、患者をトータルで診察することを求められるようになった」と話している。

坂本歯科医院では、患者が恐怖心を抱かないよう、スタッフみん
なが声をかけ、明るい雰囲気を作っている=神奈川県平塚市で
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